工藤日出夫 北本市議会レポート 第164号(2021年2月)

安全都市先進市の構築を

昨年から続くコロナ感染症は、第3波の収束が見えない状況が続いています。次は自分かという危機感と恐怖心という不安が、自分を含め多くの人を覆っているように見えます。それは、国民市民の安全に対する政治の危機管理が、機能していないことに起因しているのではないでしょうか。

 

北本市は、当初感染陽性者が少なかったが、今年の第3波では日毎に増加しています。新型コロナウイルスは、非常にやっかいな病原と言われています。特に体(命と健康)と心(人間関係を壊すなど)を同時にむしばむといわれています。

 

しかしこのウイルスにも弱点もあります。手を洗うこと、マスクをすること、3密を避けることで、感染を防ぐことができると専門家は提言しています。

 

私は、コロナ問題を契機に、北本市を人口増加による活性化だけでなく、一人ひとりの市民の生活を、科学的知見を基に「安全都市先進市」に作り替えることを最優先にすることと考えています。皆さんと一緒に力を合わせ、前へ、前へと進めましょう。


2/8(月) 臨時会で新型コロナワクチン接種補正予算

ワクチン接種インフラ整備へ

新型コロナウイルスワクチン接種に向けた補正予算(第10号)の審議のための臨時議会が2月8日開会します。

 

予算規模は、3億7,959万3,000円です。歳入財源は国費です。

 

いよいよ北本市民へのワクチン接種の環境整備が始まります。すでにイスラエルやアメリカ、イギリス等海外では接種が始まっています。報道では、イスラエルが最も進んでいるようです。

 

効果も明らかになりつつありますし、副反応についても海外の先行事例が報告され始めています。

医療従事者から

日本では、医療従事者が先行し、続いて65歳以上の高齢者と基礎疾患のある人、介護等従事者、一般と続くようですが、本市においても適時適切な接種ができるよう、執行部に任せるだけでなく議会、市民の理解と協力が不可欠と考えます。

 

まさに国家的事業であり、市政のガバナンスが問われる状況になると認識しています。ワクチン接種が混乱なく、すべての希望する人に行き渡るよう、議会としても関心を強めていきます。

令和3年3月議会は2月22日開会の予定

北本市議会令和3年第1回定例会(3月議会)は2月22日(月)から3月25日(木)までの予定です。2月15日に予定されている議会運営員会で日程が決まります。

 

通常3月議会は、令和3年度の予算を審議します。市民生活に直結する事業予算です。市民の暮しに向き合っているか、生活者の目線でしっかりと審議します。

 

北本市は、長引く少子高齢・人口減少が課題ですが、今は、コロナ禍への対応など、科学的データに基づく適時適切な政策推進が求められています。

 

安らぎのある市民生活に向け、皆さんのお声に寄り添い対応します。


ごみ処理新施設整備の今後

戦略無き拙速な判断に懸念 - まずは、明快なビジョン構築を

すでにご案内のように、市は昨年11月に“白紙”になった鴻巣市と再度広域化の方針を決めました。

 

白紙になった経緯の検証することなく判断したことに議会は「単独と広域の比較等慎重な判断」を求め決議をしました。

 

過日新聞報道で、3市の枠組みが破たんした行田市は、早々に隣接の羽生市と新たに広域化を決め事業化に着手しました。北本市は白紙後の一年、市民の声を聴くという方針でしたが、それも不十分なままの決定です。

 

今、必要なことは「自ら出したごみを、自らどう処理するか」という基本的なビジョンを構築することではないでしょうか。同じことを繰り返さないためにも、議会としてしっかり対応します。


新庁舎建設工事費の一部 483万円誤払い返還請求不問か ?

くどうの視点 〜 観考推洞 : 観察・考察・推察・洞察の略語。物事の見方、考え方は観察・考察・推察・洞察をと藤本義一氏の言葉。

新庁舎建設工事における不自然・不透明な事務執行の経過

  • 北本市新庁舎及び(仮称)こどもプラザ建設工事は、平成24年9月27日から平成27年3月までの約2年6カ月(石津賢治市長)。設計は、安井建築設計事務所東京事務所。請負工事業者はフジタ伊田特定建設工事共同企業体(請負工事費総額34億4,379万円)。
  • 第1回入札は、平成24年8月17日総合評価方式で31億800万円(落札率87.32%)。第1回変更契約を、平成25年6月6日に契約額を3億3,579万円を増額し総額34億4,379万円とした。変更分は入札でなく、当初契約の落札率を乗じた金額である。
  • 北本市監査委員は、平成27年10月1日から平成29年4月28日まで新庁舎及び(仮称)こどもプラザ建設事業の事務執行について「随時監査」を実施し、不自然かつ不透明な事務処理をしていた。市長及び市議会は疑惑の解明と再発防止に努めることと報告した。

※ 報告書で、こどもプラザトイレ洗面化粧キャビネット6カ所工事費が計上されているが、未設置であるのに工事代金が支払われている。議員控室の移動間仕切りが3カ所設置の工事費が計上されているのに、実際は2カ所削減し固定壁に変更した。工事代金の差額調整が行われてないと指摘した。

  • 随時監査中間報告を受け、北本市議会(議長:三宮幸雄)は平成28年12月第4回定例会において、新庁舎等建設事業を対象に、地方自治法第100条第1項に基づく調査特別委員会(委員長:工藤日出夫)を設置した。委員会は、前市長や前議員、当時の担当職員、設計事務所及び施工業者関係者に、証人尋問31人、参考人招致16人、他の説明者20人計67人の調査。設計図や積算書等の関係書類を精査し、平成30年9月に報告書を議決して終了した。

※ 調査報告書で、随時監査報告にある前記事項の「こどもプラザトイレキャビネット6カ所(192万3,000円)」と「議員控室移動間仕切り3カ所(@188万円:564万円)」は、変更契約増額分(3億3,579万円)算出の積算内訳書に計上されている。

※ キャビネットは、図面に記載がないことから設置されていないが、工事費は支払われている。間仕切りは、2カ所削減(▲376万円)し固定壁(工事費57万4,720円)に図面変更した。3カ所分564万円は支払われているので、削減した2カ所分から固定壁を引いた差額の調整が必要であるがしていない。

  • 委員会判断:キャビネットは図面に記載がないので設置していないが、請負金額に含めて支払っているので167万9,163円を返還させるべき。間仕切りは削減した2カ所分ー固定壁工事費=270万8,512円が未清算となっている。従って、合計438万7,675円の返還を求める損害賠償請求を市長に勧告。(返還金額は設計額に落札率87.32%を乗じている)
  • 令和2年7月三宮市長は、議会からの勧告に対し次のように回答した。
  1. キャビネットの未設置と間仕切り金額未調整は、市の内部資料の内訳書には記載が認められるが、工事請負業者と契約した図面には記載が認められない。
  2. 上記の理由で、施工業者は図面通りに完成させたので業務上の瑕疵は生じない。
  3. 同様に市に損害が生じているとは解せない。
  4. よって、議会から勧告を受けた損害賠償請求を実施することはできない。

解説 : 誤払いを認めない…行政の無謬(むびゅう)性か 〜 税金の使途は1円なりとも不当不明は許されない

この報告を受けて、私工藤日出夫は当時の委員長として看過できないことから、令和2年の9月議会で「市に損害がないとは事実誤認ではないのか。それとも請求放棄(不問)したのか」と一般質問しました。

 

市長は「施工業者とは図面契約している。図面通りに竣工しているので業者に責任はないので、損害賠償請求はできない、と答弁されました。

 

しかし市は、「図面に無いが工事費を計上し支払った」ことは明白です。100条委と監査委員の随時監査報告では、施工業者に瑕疵が“ある”か“ない”かということでなく、設置されていない家具類に工事費として税金が支払われているという事実に基づき「返還請求すべき」と勧告したものです。

誤払いは受益者に返還義務が

平成31年2月に開催した市の検証委員会でも、設置されていない家具類の工事費を、市の職員が積算内訳書に計上したことを確認し、「市は非を認める」と述べています。いわゆる「誤払い」との認識をされたと言えます。

 

誤払い(過払い)は、民法第703条で「法等に基づかない利益=不当利得」と規定され、受益者は返還しなければならないとされています。納税者である市民は、業者への「不当な支払(誤払いまたは過払い)」で損害を被っています。

 

業者に瑕疵があるか、ないかの判断でなく、市が施工業者に誤って支払った工事代金の事実の確認で、返還請求することです。なぜその確認を市長は避けるのか。それが問題です。

市は、なぜ返還請求から目をそむけるのか?

市は、平成25年6月に3億3,579万円増額して変更契約を締結しました。その変更契約の増額分の中に、設計図面に記載が無いのに積算で工事費を計上し発注しました。そして支払いました。

 

市の回答では、計上した積算内訳書は内部資料と説明しています。その内部資料に計上し支払っている事実を認めようとしません。しかし、実際に設置していないのに438万円は支払っていますから、業者はもらい得(不当利得)です。

 

なぜ市長は、誤払いまたは過払いを認めようとしないのか。私の推察及び洞察では、担当職員の「誤払い責任」を擁護と市の責任回避と見ています。また担当者が「業者に瑕疵がないから、損害賠償責任がない。したがって市に損害がない」と結論付けたことにあると考えています。

 

いわゆる「行政の無謬性(行政は間違いをしない)と責任放棄」そのものです。私は諦めません。今後法律家に相談し、返還に向けて粘り強く対応します。


編集後記・雑感

工藤日出夫議会レポート第164号ができました。

 

さてコロナ禍の猛威は、依然衰える気配がありません。ワクチン接種に希望を持っていますが、これも完全とはいえず、自粛を基本とした感染予防が必要です。

 

議会は、8日の臨時会、22日からの定例会と、コロナ禍の中ではありますが、市民生活を支える「令和3年度の予算」など、重要な課題が目白押しです。生活者目線でしっかり対応します。




工藤日出夫議会レポート 第164号(2021年2月)
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