工藤日出夫 北本市議会レポート 第143号(2018年5月)

特集 : 健康寿命 〜 埼玉県 男性2位 女性29位に上昇

トップは男性 山梨県、女性 愛知県 〜 人生100年時代の健康寿命設計

日本の平均寿命は世界でもトップクラス。一方、寝たきりの数も世界有数と言われている。そのため単なる「長生き」でなく、「健康で長生き=健康寿命」が注目されている。厚労省は、2016年の健康寿命を公表した。

 

それによると、男性は山梨県73.21歳、女性は愛知県76.32歳が1位で、埼玉県は男性73.10歳で2位、女性は74.67歳で29位でした。

 

2013年男性は71.39歳(21位)、女性74.12歳(33位)から上昇しています。人生100年と言われ、一人ひとりが健康寿命の設計をつくることが長生きの秘訣のようである。

健康寿命トップスリーの秘密を探る

山梨県

山梨県は、冬寒く夏暑いと気候条件はよくないが、水がきれいで果物などの農産品がよく野菜の摂取量が多い。また、がん検診の受診率が高く、健康と医療に注目。

埼玉県

埼玉県は2025年に75歳以上高齢者の伸びが全国一。そこで県は「健康寿命埼玉プロジェクト」を開始。

 

毎日1万歩運動や筋トレを推奨。さらに1食当たりの塩分3ミリ以下、野菜130g等、健康レシピを推進している。

愛知県

愛知県は、健康的な食生活を呼びかけ塩分摂取量は減った。また、健康づくりリーダーを養成し、地域で健康づくりに取り組んだ。愛知県は、モノづくり王国で、働くことが健康の秘訣になっている。


目指せ県内トップ

埼玉県が独自に健康寿命(65歳の人が要介護2以上になるまでの年数)を推計しています。

 

それによると北本市は

  • 男性17.52年(82.52歳)
  • 女性19.94年(84.94歳)

です。男性は県内17位、女性は41位でした。(63市町村)

 

健康寿命を延ばす3種の神器は、

  1. 食事の改善(健康レシピ)
  2. 適度な運動(ウォークなど)
  3. 定期的健康診断(特定・ガン)

といわれ、一人ひとりの自覚(意識改革)が求められています。この3種の神器に、ストレスを減らす生活。北本市の特色である自然との関わり(森林浴など)、働くことを組み合わせると良いようです。

 

さあ今日から健康寿命大作戦!

大杉漣さんの悲劇

突然死を防ぐ

大杉漣さんの突然死には驚かされた。野村監督の妻の紗知代さんも、虚血性心不全だった。突然死が話題になっている。

 

脳卒中や心筋梗塞は、起床後の3時間、仕事の終わった夜8時前後に発症ピークとか。自律神経の乱れで血圧が上昇する。

 

通勤やオフィスの空調で急速に冷えるはよくない。

 

大杉漣さんは、急性心不全だが腹部大動脈瘤破裂が疑われている。生存率は25%と言われている。腹部大動脈瘤の危険因子は、高齢、高血圧、喫煙、家族歴と言われ、思い当れば医療機関で検査を受けてほしいと医療関係者は警告している。


特集 : 医師不足全国一の埼玉県で市民の医療を守るには

全国一の医師不足が長期間続く埼玉県において、私たちが暮らす北本市及びその周辺の地域医療の体制を持続的に維持させるためにどうすべきか。先ずは日本の医療の現状、埼玉県の医師不足の問題を元済生会栗橋病院で長年外科医として従事された本田宏氏を講師に、研究会・勉強会を開催しました。そこから見えた現状を踏まえ、北本市民の医療を考えてみました。ご意見ください。(文/工藤日出夫)

医師10万人不足偏在の是正では解決しない

6年前に、北里大学メディカルセンター病院事務長のデータで、人口10万人に対する医師の人数は、埼玉県が最低であることを知った。今回の講演会でも、その事実は改善されることなく、47位(161.1人)であった。

 

1位徳島県(315.9人)のほぼ半分である。全国平均は、240.1人であって、西日本は平均より高く、東日本は東京を除き平均より低い。西高東低の冬型気候と同じで、我々の住む地域の医療は「お寒い」と言わざるを得ない。

 

この状態を厚生労働省は、「医師の偏在(偏っている)」というが、本田氏は、偏在ではなく医師そのものの数が足りないという。OECDの平均は320人で、単純に比較すると「約10万人」不足していると警鐘ならしている。

埼玉県の医師不足は分かった

北本市の状況は?

さて北本市民の医療体制であるが、先ず、2次医療圏の地域医療支援病院である「北里大学メディカルセンター病院」が大きな役割を担っている。

 

しかし北本市民の医療は、基本的に開業医(病院・医院・診療所等)が担い、平日の昼間はアクセスが比較的恵まれている。反面、休日夜間の救急医療体制は厳しい状況にあるのが現状である。

 

埼玉県の医師不足は深刻であるが、県央の2次医療圏の医師不足はさらに厳しいのが現実である。頼みの綱である、メディカルセンターの体制が開業時に比べて大きく後退している。

 

小児救急含めた救急搬送先は、北里大学病院メディカルセンターと上尾中央病院が中心であるが、十分とは言えない。産婦人科もメディカルセンターに依存している。

 

近隣の中でも人口10万人当たりの医師数(182人)は県の平均より多いが、市民の医療要望は満たしきれてはいない。

医療等社会保障は政治の問題

社会保障の原理は、「人間の尊厳(尊重)」であると言われる。日本国憲法第22条は、「生存権の保障」を規定している。まさに社会保障の原理である。

 

市民の医療や介護、生活保護は命(生存権)の保障であり、国も市もないがしろにすることはできない。あらゆる政策課題で、最優先に実施すべきものである。

 

市の予算に占める扶助費(社会保障費等)は、高齢社会の中で増加している。そのため、医療費や介護費用を抑制する傾向があるが、それだけで「安心」できる社会の構築は難しいであろう。

 

まさに、本田氏が講演で話された「政治課題」であり、市民に与えられた「宿題」でもある。

地域医療を守る条例が必要!

我々がこれから、どのような行動を進めるべかである。医療の安定的な供給体制の確立は喫緊の課題であるとともに、当面の課題である「かかりつけ医」の普及・定着を進めるべきである。

 

中核的医療機関だけでは、医療に対する市民の多様な要望には応えられないし、そうすべきではない。開業医を「かかりつけ医」として定着させ、中核的医療機関と連携を進めることで医療の高度化に対応できると思う。

 

そこで、近隣自治体と連携して、メディカルセンターを支援する必要がある。

 

そのため、「地域医療を守り・育てる条例」の制定とともに、市民と協働で「地域医療を守り・育てるチームきたもと(仮称)」の設置が求められるのである。

 

北本市民の医療の充実は、我々市民の理解と医療行政、医療機関との相互の信頼関係作りが必要である。人口減少でも、市民の安心をつくるのが政治の責任で、政治を選ぶのは市民である。




工藤日出夫議会レポート第143号(2018年5月)
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