工藤日出夫 北本市議会レポート 第163号(2020年5月)

コロナ対策に全力、と決議 〜 市民の力、敬和会、みらいの3会派有志議員9人が提案 !

議員報酬削減など議会費縮減で約1千万円超コロナ対策費へ

北本市議会は、令和2年5月19日有志議員9名が請求した臨時会を開会しました。

 

コロナ感染拡大防止のため外出自粛や休業要請で市民生活が大きく変容し、経済的に困窮している事態が起きています。市民の命とくらしを守るため、対策の緊急提言(決議)と財源確保について審議しました。

 

臨時会で議員提案で議決(可決)したことについて報告します。

1.議員報酬10%の減額

コロナウイルス感染症の対策費の財源の確保を目的に議員報酬を減額しました。

 

6月1日から11月31日迄の6か月間報酬月額と6月支給の夏季一時金(ボーナス)を10%減額します。このことで議員一人当たり約31万円(総額約620万円)となります。

2.埼玉県知事へ意見書提出

緊急事態宣言の延長を受け、さらに収束に向けて長期化することなどから、安心できる県行政の推進に向け、「新型コロナウイルス感染症対策の充実を求める」以下の意見書を大野知事に提出しました。

  1. PCR検査体制の強化
  2. 医療体制の強化
  3. 雇用の維持と事業の継続の支援
  4. 中小企業及び個人事業者支援の充実
  5. 教育環境の整備による教育機会の確保及び教育格差の解消

です。今後も機会を見つけて、市民の安全安心向けた提言をしてまいります。

3.新型コロナウイルス感染症対策に関する決議

市議会は、5月19日の臨時会で下記の決議をしました。特に、自粛等の休業で職を失った人や個人事業主への経済支援は喫緊の課題と決議しました。この後は市長にぜひ決議を活かしたコロナ対策をしていただきたいと考えています。

1.適切な情報提供について

市は、新型コロナウイルス感染対策の見える化を図り、市民に積極的に情報を提供することで市民の不安の解消に努めること。

 

2.医療に関する情報提供について

市は、医師会等と連携し、新型コロナウイルス感染症を含む医療全般に対する情報を市民に適切に提供すること。

 

3.生活困窮者及び中小企業・個人事業主への支援

市は、緊急事態措置による休業要請等の影響により、雇用を喪失又は収入減を余儀なくされた生活困窮者及び事業の休業・縮小等で事業の継続が危ぶまれる中小企業・個人事業主に対し、あらゆる機会を通じて、国及び県による各種支援に関する情報を提供するとともに、早急に市独自の経済支援策を講じること。

 

4.学校再開に向けた対応について

市は、小学校及び中学校の再開に向けて、徹底した感染症対策を講じるとともに、遠隔学習の導入など、感染防止に配慮した教育環境の整備を図ること。また、学校の持つ集団教育活動の長所を失うことなく安全に学校活動が送れるよう、児童生徒、保護者、学校関係者及び専門家等による検討会議を設置し、対応の一元化を図ること。

 

5.高齢者及び高齢者介護施設への支援について

市は、新型コロナウイルスに感染した場合に特に重症化する恐れの高い基礎疾患のある高齢者を感染から守るため、見回りの強化や相談体制の整備が重要である。また、高齢者介護施設へのマスク・消毒用アルコール等の衛生・防護用品の提供や、感染拡大防止のための施設設備の改善等について、特段の支援を図ること。

 

6.保育所・学童保育室等への支援について

市は、医療従事者や社会の機能を維持するために就業を継続することが必要な方やひとり親家庭などで仕事を休むことが困難な方のために、保育所、学童保育室等の施設における事業の継続を図ること。また、緊急事態措置が解除された後も、当該施設において感染防止に努めながら安全に子どもの保育が実施できるよう、可能な限りの支援を行うこと。

 


これ以外に市長提出議案が、13件ありました。すべて可決しました。

1.市長・副市長・教育長給与減給

市長20%、副市長・教育長15%の減給を6カ月間行うための条例が提出されました。

2.専決処分の承認

一律10万円給付の補正予算及び条例改正などが、4月31日に専決処分していますので、議会の承認を求めて提案されました。

 

臨時会は、市長及び議長発議で行われるのが通例ですが、開会の意思がないことから、下記(図)の議員9名が地方自治法第101条3に基づき、市長に直接請求し開会されました。

 

議会は、議員報酬削減(620万円)の他政務活動費の清算返納(240万円)や旅費及び不要不急の事業費(280万円)削減で約1,140万円の財源を、コロナ対策費への活用を図るよう決定しました。

 

コロナウイルス感染症は、長期化の可能性があります。議会は、市民の安全に全力で対応します。


新型コロナ感染症長期化の様相 〜 新しいライフスタイルの構築へ

1月15日に国内において最初の感染者が確認された新型コロナウイルス感染症は、その後クルーズ船でのクラスター、北海道での感染拡大の後、3月から4月にかけて首都圏を中心に全国に拡大しました。

 

政府は4月7日に「緊急事態宣言」を発出し、感染拡大阻止に向けて「外出自粛」や「休業要請」を実施しました。

 

5月の連休後は、全国的に新規感染者が減少し、一部の大都市圏を除き緊急事態の解除が行われています。しかし、これで終息することは無く、長期化が叫ばれています。

 

この間、特に非正規勤労者の雇用環境が急速に悪化、生活困窮問題が顕在化し、また、個人事業主や中小企業を直撃し、経営を圧迫しています。国は、一律10万円給付事業等対策を出しているが、当事者に届くのに時間が必要で困窮状態は深刻な問題になっています。

 

議会は、迅速に市独自の対策を求め議会決議しました。しかし、新型コロナウイルス感染症は、有効な治療薬やワクチンの開発が途上にあり、今後はウイルスとの共存が課題になっています。専門家会議が示した「新しい生活様式」を踏まえ、自分にふさわしいライフスタイルを構築し、コロナ禍を克服していきましょう。

時論 : コロナ騒動の中、9月入学は ?

コロナ感染拡大で学校が長期間休校する中で、知事会で「9月入学」が突然提案されています。

 

グローバルスタンダート(国際標準)ということですが、下図をご覧ください。

 

これは、文科省が公表している各国の入学時期です。1月入学から10月まで様々です。アメリカは7月です。学校の入学時期は、グローバルスタンダードという基準は無く、それぞれの国の文化の中で実施されていると見るべきです。

安全な学校づくりが先では

私は、いま長期間休校している学校の再開には、入学時期の検討ではなく、子どもが安全に学校生活ができる環境の整備と思います。子どもを感染症から守るため、決議でも述べているように、児童生徒・保護者・教員のリスクコミュニケーション(危機を共有)の確立です。

 

そのうえで、まずすべきことは、少人数学級で教室を密にしないことです。二部制通学などが検討されているようですが、これでは教育時間の減少で学力低下、そして学力格差等が起きることが心配です。

 

今学校は、少子化の影響で未使用教室が増えていますので、学級増は対応できます。

 

知事会が、9月入学を国際標準というなら、むしろ1クラスの人数を減らすことが「国際標準」です。次に、教員の増員です。「ブラック職場」と言われ、教員志望が減少しています。

 

子どもにとって安全な学校、子どもの学習を保障するために「少人数学級」と「教員の増員」が、コロナ対策で最優先にすべきことです。


編集後記・雑感

4月27日の代表者会議で、議長は臨時会の開会請求をしない方向でした。私は今こそ議会は臨時会を開会し、市民のコロナ不安解消に向け、市の対策を後押しすべきであると申し上げましたが、開会請求しないと決めました。

 

その後私は、敬和会会長の黒澤健一議員と協議し、5名以上の議員で市長に直接請求しようということになり、表面にある9人の議員で「臨時会開会請求」し、19日に開会されました。

 

今できることを迅速に。この危機を共に乗り切る政治の役割をーと、署名で協力いただいた8人の議員。そして議員報酬引下げ等の議案に賛成した署名議員以外の11人の議員。議会は一致してこの危機に、全力で臨むことを確認できた臨時会でした。

 

私は、3・11を経験しましたが、今度のコロナ禍は全く性質の違う、初めて遭遇した出口の見えない危機です。地方自治の本分である「住民福祉の増進」が保障されるよう、力合わせ政治の責任を果たします。




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