工藤日出夫 北本市議会レポート 第156号(2019年7月)

三宮新市長 新しい北本へ議員と活発な論戦展開

北本市議会 令和元年第2回定例議会 6月26日終わる

北本市議会は、選挙の本格的な議会(定例議会)を6月10日(月)開会し同月26日閉会しました。市長提出議案は17件でしたが、一般質問は議長を除く全議員19名が通告し、さながら一般質問議会でした。

 

工藤日出夫は、人口減少と行財政改革について、会派の幹事長日高議員と新人の櫻井議員は学童保育などについて市長・部長と論戦しました。

 

また、補正予算の南部地域開発調査の費用2千万円など、すべての議案が可決しました。三宮新市長は順調に動き出しました。

新しい持続的なオンリーワンのまちへ

課題満載!!人口減少・市税減収、久保区画整理事業・新ごみ処理施設等

5月20日の臨時会で議会の構成を決め、新しい20人の議員と三宮新市長による、停滞感のあった北本市政を動かす定例議会(6月議会)は、活発な議論が行われました。

 

三宮新市長は、人口減少は危機的な状況であるが、それはピンチであるが逆にチャンスとしてとらえ、持続可能なオンリーワンの北本市を建設すると、強い決意を示しました。


正念場の人口減少問題

北本市の人口減少は長期間にわたって進み、今後も減少することが予想されています。

 

反転攻勢で人口増加ができるのか。それとも減少数を緩やかにさせながら、市民生活の安心安全を確保したコンパクトなまちにするのか、まさに正念場といえます。

 

人口減少問題は、今議会一般質問で取り上げました。そのことについては、裏面で報告します。

南部の可能性調査実施へ

市長は、今議会の補正予算で、南部地域開発調査費2,000万円を計上し、議会は可決しました。市長の公約である「南部新駅・圏央道・上尾道路周辺の経済産業振興の可能性調査」を実施するためです。

 

三宮市長は、人口減少が進む中で南部地域は市の成長点と位置づけ、開発調査をするという説明でした。

 

私たち会派市民の力は、これまで行った南部地域の各調査を踏まえ、新駅についてはこれが最後の調査にすべき。市民参加の調査委員会の設置を提案し賛成しました。

宮内の緑地公有化へ

われわれ会派市民の力は、選挙時に三宮市長候補と政策合意した「宮内の緑地の公有化」については、6月議会の補正予算で土地鑑定委託料が計上されました。

 

今後、鑑定を行い、地権者と協議をし、年度内の公有化に向けたスケジュールが示されました。


特集 工藤日出夫の一般質問

非常事態 !! 人口減少はピンチ ! ピンチをチャンスに変える発想の転換

私工藤の一般質問は、市長選挙の時の三宮市長(候補予定者)の政策チラシ(下図参照)にある「北本市は人口減少のピンチ」について取り上げました。

 

私は、2003年(平成15年)議員に当選し、平成18年に策定した第四次北本市総合振興計画の将来人口目標(71,000人)は、達成が困難であると疑問を持ち、問題点を石津市長(当時)に指摘し反対しました。

社会減に自然減が加わり構造的に

私は、この時以来北本市の人口動態(減少に対する危機感)に関心を持ち、何度も一般質問等で問題提起をしてきました。

 

平成17年に始まった人口減少、この時は転出超過(196人)による65人の減少でしたが、平成18年69人、平成19年298人と3年連続減少しました。石津市長に、これに自然減(出生と死亡の関係)が加わると、人口減少は構造的になり回復が難しくなると指摘し、少子化対策と子育て支援や働く場の創出を進める必要があると提案しました。

 

石津市長は、こども医療費の無料化や学校教育環境の改善(少人数学級の導入や普通教室へエアコン設置)を積極的に推進しましたが、土地利用政策(企業誘致や住宅供給等)の硬直化(昭和45年の都市計画決定)も手伝い人口増加の誘導政策は十分機能しませんでした。

 

長年にわたった北本市の都市政策(政治)の不作為と言えるかもしれません。

人口急増の反動か

北本市の人口減少は平成17年から始まりましたが、人口の推移と動態を分析すると、その兆候は平成10年前後に見ることができます。

 

下表1をご覧ください。北本市の人口推移は、昭和45年の31,699人が5年後の昭和50年には46,612人と約1万5千人増え、その10年後の昭和60年に58,114人、さらに10年後の平成7年に69,929人と、25年間で約3万8千人増加しました。正に驚異的な人口増加です。当時は学校建設など、インフラの整備に力がそそがれたと思います。

 

しかし、それ以降は人口の安定期から減少期に移行しました。この安定期はわずか10年で、平成17年から始まった人口減少は平成22年以降一気に進みました。

 

そして2014年には、民間の人口問題団体から消滅可能性都市と名指しされました。

 

もう一度表1をご覧ください。右側の児童生徒数の推移ですが、平成3年8,387人(小学生5,328、中学生3,059人)をピークに、この間一貫して減り続けています。人口が増加していた時期にすでに児童生徒は減少し始めていました。

 

平成2年から平成12年の10年間で、人口は6,000人増えていますが、同時期に児童生徒数は1,746人減少しています。

 

人口が増えているのに、子供の数値が減っています。

 

この相関関係をわれわれは見落としていたようです。北本市の人口減少の兆候は、人口が増えていた平成10年前後に起きていたということです。人口急増の反動とも言えます。

人口減少は自覚なき危機

まさに人口減少は、ステルス戦闘機やすい臓がんのように目に見えにくい、体に感じにくいが、確実着実に進行していきます。自覚なき危機です。

 

それだけに、われわれ政治に関わるものが、平成10年前後に起きたこの兆候(サイン)に気づき、有効な対策を検討していたら、今この時期に「ピンチ」などと騒ぎ立てることはなかったかもしれません。

 

いずれにせよ、この原因について三宮市長は、昭和45年の都市計画決定で「市外化区域」と「市街化調整区域」に分けた時、市街化区域を限定的にしたことで宅地供給が少なく、人口増加を促す住宅政策が起動しにくい状況であったと答弁されたが、昭和40年代の政治の判断が今日影響しているということが言えるのでしょうか。

 

北本市の将来人口予測で特徴的なのが、30年後の2045年の人口減少率が-35%、高齢化率45%であるのに、子ども・若者・女性の減少率が-50%を超えていることです。

 

今は子ども・若者・女性人口が減っているが、20年後あたりから長寿の高齢者が亡くなることで、2段階で人口減少が起きます。

三宮市長の将来ビジョンに期待

私は、全国的に起きている人口減少に、勝者はいないと見ています。今他市から人口移入させる政策を掲げても、それは単なる数合わせ、やがてそれすら機能しなくなるように思います。

 

大事なことは、北本市の人口が減っても、市民の生活、まちの活力を失わないビジョンと哲学(文化)を市民と一緒に作り、共有することではないでしょうか。

 

三宮市長は、人口減少をチャンスととらえ「発想の転換」で持続的なオンリーワンの北本市をつくると意欲的です。是非市民の未来が安心できるようなビジョンを出していただきたいと期待しています。

 

私は議員として持てる力を最大限出し、協力していくつもりです。市民のみなさまからの叱咤激励と建設的なご提言をお待ちしています。


編集後記・雑感

選挙後の「議会レポート第156号」を発行しました。

 

4月の選挙では、多くの方々にご支持いただき5回目の議員を務めることになりました。臨時議会で、市の監査委員に任命されました。また、新ごみ処理施設を整備する鴻巣行田北本環境資源組合議会の議長にも選出されました。

 

今後は安心安全な暮らしを支える議会活動に努めます。




工藤日出夫議会レポート第156号(2019年7月)
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