工藤日出夫 北本市議会レポート 第133号(2017年1月)

年頭所感 / 逃すな! 北本市再生のラストチャンス

北本市政は前任者の12年間で、一つの腐ったミカンが、まっとうなミカンを腐らせました。腐りきったミカンを取り除き、組織を再生させ、みずみずしいミカンにさせるのが百条委員会の仕事です。

百条委員会を契機に市議会主導の大改造を

北本市政の大掃除

2003年4月に北本市議会議員に当選して以来、今年は14 回目の新年を迎えました。気持ちを新たに、年頭所感を述べます。

 

今年先ず取り組むのは、不透明な新庁舎建設疑惑を解明する「百条委員会」です。そして、この百条委員会の真相究明を通して、北本市政の大掃除、徹底的に「大改造」させることです。

 

まさに「北本市政をぶっ壊す!」ぐらいの覚悟で進める必要があるのでしょう。

 

さて、結果には必ず「原因」があります。今回の新庁舎建設に係る不透明な結果には、執行の過程に必ずそれを生み出した原因があるはずです。今後は徹底して「事実」を積み重ね、このような不適切な執行が、なぜ組織的に常態化したのか。真相の究明とともに原因を追求しなければなりません。

 

そのことをもって、市議会が主導する「市政の大改造(大掃除)」につなげることが重要です。


五次総をエンジンに

第五次北本市総合振興計画が、昨年12月議会で可決しました。

 

総合振興計画は、北本市のまちづくりの最上位の指針です。昨年6月議会で否決された後、再提案されました。今回再提案された計画は、北本市が直面する最大の課題である、人口減少に対応するため「リーディングプロジェクト」が新設されました。

 

私たち会派は、リーディングプロジェクトの新設は評価するが、目標や目的、推進組織と人材活用、そして期限が示されていないことは実効性に課題がある。ということから、推進の方針として、それを追加しました。

 

また、北本市の地域特性を生かした新規事業の開発調査・研究が示されていないことは、魅力ある街へ改革ができないと、修正案を提出しましたが残念ながら否決されました。

性根据えて闘う政治を

北本市の人口減少数は、近隣市町に比べても多く、平成28年は約600人減少しています。北本市は市制施行45年で最大の危機に直面しています。

 

私は、この人口減少に強い危機感を持っています。もう北本市は、これまでの45年とこれからの45年は、全く違った発想が必要です。政治を変革し、市民との協働なくして北本市の持続はありません。

 

性根を据えて、既得権や抵抗勢力と闘います。


特報: 不透明な新庁舎建設解明に百条委員会設置

大護俊英・新井馨・加藤高の3代の市長が、新庁舎建設に向けて基金を積み立て、平成24年度に着工・平成26年竣工した北本市新庁舎建設ですが、その間不透明な契約等疑問が出されていました。今回代表監査委員の監査結果と第三者委員会の調査報告で、不合理な問題が明らかになりました。

百条委員会で全容解明へ

北本市議会は、16日の緊急質問の後、新庁舎建設工事に不当な支出や公職者の関与が疑われ、議会の最高の権能である地方自治法第100条の規定による「新庁舎等の公共工事等に係る調査特別委員会」を設置し、全容解明に向け詳細にわたって調査することにしました。

地方自治法第100条:市の事務について「調査」する権限を規定したのものです。証人は、うその表現や出頭また書類の提出を原則拒否できません。証人は、事務にかかわった職員や業者などです。議決が必要です。

委員は次の8人です。(敬称略)委員長:工藤日出夫、副委員長:高橋伸治、委員:滝瀬光一、大島辰巳、金子真理子、中村洋子、保角美代、松島修一です。

 

調査特別委員会は、関係者から事情聴取するとともに、関係の記録の提出を求めていきます。また、全容解明に必要であれば、関係者を委員会に呼び証人尋問も行います。

 

議会の調査委員会は、偽証等があれば告発することもできます。

造作された家具・備品類の数が合わない、材質・形状が違う…ってなぜ?

12月7日に市が「監査委員の調査結果」を議会に説明しました。

 

新庁舎・子どもプラザ建設の造作家具と備品が、当初の設計書通りに工作または納入されていない。「数が合わない」、「形状が違う」、「材質が異なる」ものが約70項目以上見つかった。金額については全体を把握していないので報告できないとのことでした。

 

例えば、議員控室の間仕切りです。設計書では、単価188万円が3カ所ですが実際は1カ所で、残りは安いものになっていると報告しています。材質が違うもののほとんどは、「ナラ材」が「メラミン化粧版」に。また「鋼板」でなく「木材使用」、埼玉県産の杉材が、集積材になっています。

 

児童館の洗面化粧キャビネット(写真参照)が、設計金額24万円3個がゼロ、同じく40万1千円3個がゼロとなっています。

なぜこのような初歩的指摘に、当時の担当者が合理的説明ができないのか。施工業者は、監査委員が要求した書類の提出と説明責任を果たそうとしないそうです。疑問が広がります。

官製談合や公文書偽装の疑いが濃厚…じゃないの?

12月12日に、市は顧問弁護士と一級建築士2名による「第三者委員会」を設置して検証した結果を報告しました。

 

「防災倉庫の随意契約」は、設計額(1憶2,495万円)と契約額が同額であったのは、「事前に設計金額を漏らした可能性が高い」と報告しました。官製談合の疑い…。

 

また、工事監理と意図伝達業務ついて、予算額約3,800万円であるのに、随意契約された金額は約1千万増額され、4,800万円になっているが、起案書や見積書等が改ざん、差し替えられたと報告しました。これは、公文書偽装または公文書の差し替えが疑われ、三菱自動車や東芝と似た構図です。

 

報告ではさらに、業者の増額要望を認めるよう指示したことや、市と業者の間を取り持ち、関与が疑わる人物がいたことをうかがわせています。公人なら大問題です。

 

疑惑が深まりました。

疑問解明に向け緊急質問

議会はこの報告を受けて、議長が代表者会議を招集し「緊急質問」をすることを決めました。各会派から1名の質問とし、会期を14日閉会を2日間延長し、16日としました。

 

緑風会は、この問題を3年前から前市長に強く解明を迫っていた、工藤が質問することになりました。

 

工藤は、監査の結果、納入された数が不足している、材質が違う、形状が異なるという視点は、われわれの想像を超えるもので、気づかなかった議会の責任を反省しつつ、真相究明に議会の権能を発揮すべきと質しました。

 

第三者委員会の報告による防災倉庫は、「官製談合の疑いが濃厚ではないか」と。

 

工事監理と意図伝達業務委託が、当初予算を1千万円上回る契約を設計事務所と協議している。見積書が差し替えられているとの報告は、疑惑満載ではないか。

 

市民が納めた貴重な血税が、不当に支出されているとしたら一大事です。調査の結果次第で、代金の返還請求また損害賠償訴訟、違法なら刑事訴訟をすべきではないかと、市長に強く求めました。

 

市長は弁護士と協議して対応すると答弁しました。しかし、それができるのは市長だけです。議会ではありません。


昨年末の30日、朝刊の折り込みに「北本市財政課からのお知らせ」というチラシがありました。

市財政課からのお知らせというのですから、市が発行したものなのでしょうが、紙面には、発行者・発行責任者・発行事務所の所在地・電話等、発行に対する責任の所在が記載されていません。

一般的に、発行に対する責任の所在が分からない文書・図画は、「怪文書」といわれるものです。

しかしながらこの「怪文書」のようなチラシは、広報きたもと11月号に特集された「平成27年度決算」の状況を「財政状況伝えるマン」が「年末年始に財政状況について考えてみませんか?」と訴えています。

市民は、このチラシ(広報きたもと)のデータを見て何を考えられるのでしょうか?

例えば事業評価するなら、評価の基準がなければ、単なる「好き」か「嫌い」の判断になってしまう可能性があります。来年度の予算編成にしても、まずは市政の優先課題と財政に対する基本方針がなければ、やはり「好き」か「嫌い」の判断になりがちです。

「借金の残高は年々増加傾向…人口減少も進み」とグラフで示しています。

また、「大型事業も今後控えている…」と公共施設の老朽化対策、ごみ焼却場の新設、区画整理事業を上げています。しかし、これらはすでに石津市長時代からのものです。何を今さらと…。

このチラシは、市の財政が思いのほか厳しい、というメッセージなのか。意図が図れません。

本来なら、市長が骨太の方針を出されるのではないでしょうか。

 

私は、市の財政がきついことは十分理解しています。それだからこそ、市長は、市の重要課題を示し、その克服に向けた財政運営の基本方針を、市民に出すべきです。

 

そのうえで、政策の優先順位を決め、議会と議論するのが本筋であるべきです。

市民の意見を聞くだけでなく、まずは政治が毅然と覚悟を持って対策を決断すべきでは…。

現王園市長は市政一新を掲げ、自らを財政のプロと言っています

そこに期待した市民は多いし、私もその一人です。しかしながら就任後の市長は、前任者の政策を構造的に見直すことなく進めています。

 

保育所再編と学童の待遇改善、パークゴルフ場整備、ゴミ埋立跡地の公有化など。市政一新の財政改革を期待します。


編集後記・雑感

私と石津前市長は、当初改革の方向は一緒でしたが、途中から彼の人間性や政治手法に疑問を持ち、忠告をしたりしましたが、耳を傾けることもなくなり、その後は「是々非々」の対応となりました。

 

さらに、3期目からは、政治スタンスの違いが明らかになり、新駅の住民投票では真っ向対立しました。また、財政運営では借金増加に懸念を示し、現在疑惑が明らかになりつつある「新庁舎建設の随意契約」には、一般質問等で厳しく追及しています。

 

このままで北本市は危ないとの危機感から、石津市長4選阻止を目指し、市長選への立候補を表明しました。対抗者側の一本化で辞退し、石津4選は阻止しました。それはそれで、大きな成果でしたが、北本市の人口減少などの危機は依然続いたままです。

 

残りの時間はわずかです。四輪クドウは、「北本市を残す改革派」として、誰に遠慮することなく言動で訴えていきます。




工藤日出夫議会レポート第133号(2017年1月)
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