工藤日出夫 北本市議会レポート 第132号(2016年12月)

新庁舎建設の疑惑深まり百条委員会設置

北本市議会、伝家の宝刀で真相究明へ

市議会は、16日の緊急質問の後、新庁舎建設工事に不当な支出や関与があるので、議会の最高の権能である地方自治法第100条の規定による「調査特別委員会」を設置し、詳細にわたって調査することにしました。

地方自治法第100条:市の事務について「調査」する権限を規定したのものです。証人は、うその表現や出頭また書類の提出を原則拒否できません。証人は、事務にかかわった職員や業者などです。議決が必要です。

12月7日に市が「監査委員の調査報告」を議会に説明しました。新庁舎・子どもプラザ建設の造作家具と備品が、当初の設計書通りに工作または納入されていない

  • 「工作・納入された数が合わない」
  • 「形状が違う」
  • 「材質が異なる」

ものが約70項目以上見つかった。金額については全体を把握していないので報告できないとのことでした。

 

12月12日は、議員有志の調査検討会(会長:金子真理子議員)から依頼した随意契約等の3件の報告がありました。この報告をするにあたり、市は顧問弁護士と一級建築士2名による「第三者委員会」を設置して検証しました。


緊急質問実施で日程調整

その結果、「防災倉庫の随意契約」は、設計額と契約額が同額であったことに、「事前に漏らした可能性が考えられる」と。

 

工事監理と意図伝達業務について、予算額約3,800万円であるのに、随意契約された金額は約1千万増額されて、4,800万円になったことは、書類の改ざん、業者との打ち合わせをうかがえる報告になっています。

 

議会はこの報告を受けて、議長が代表者会議を招集し「緊急質問」をすることを決めました。各会派から1名の質問とし、会期を14日閉会を2日間延長し、16日としました。

 

緑風会は、この問題を3年前から前市長に強く解明を迫っていた、工藤が質問することになりました。(質問内容は裏面)

備品の納入数が少ない…?

さて、監査委員の調査と第三者委員会報告は下図の写真です。監査報告では、例えば、最上段下線の報告ですが、ここは議員控室の間仕切りです。設計書では、単価188万円が3カ所ですが実際は1カ所で、残りは安いものになっています。

材質が違うもののほとんどは、「ナラ材」が「メラミン化粧版」になっています。また「鋼板」でなく「木材使用」になっています。

 

児童館の洗面化粧キャビネットが、設計金額24万円3個がゼロ、同じく40万1千円3個がゼロとなっています。(東京新聞 2016年12月17日 「不透明工事で百条委 北本市議会 市役所新庁舎など」)

 

なぜこのような初歩的指摘に、当時の担当者が合理的説明ができないのか。施工業者は、監査委員が要求した書類の提出と説明をしないのか。疑問が広がります。

書類差し替え改ざんか?

第三者委員会の報告です。前述のように、防災倉庫が入札で2回不調になり、入札に参加していない●●●●●共同企業体(建設施工者)に、予算額ピッタリでの契約は、事前に予算額を知らせた可能性が高いという報告です。

 

これは「官製談合」の疑いというのではないでしょうか。

 

工事監理・意図伝達業務についても、前述のように、見積もり徴取の起案文書が差し替えられたと報告しています。とするならば、公文書偽装または公文書の差し替えが疑われ、三菱自動車や

東芝と似た構図です。

 

そしてこれに、市と業者の間を取り持ち、関与が疑わる人物がいたようです。公人なら大問題です。疑問は深まっています。百条委員会(工藤委員長)で解明が必要です。

工藤日出夫の緊急質問

12月16日(金)工藤日出夫の緊急質問は、3人目として登壇し、新庁舎建設に係る報告について質問しました。

 

すでに前頁に概要を記載しています。監査のきっかけは、代表監査が地方自治法に基づき、新庁舎建設終わったことで、事業費の全体が整ったことからという説明でした。

公金の返還請求、損害賠償も

監査の結果、納入された数が不足している、材質が違う、形状が異なるという視点は、われわれの想像を超えるものでした。さらに今後は工事全体についても監査するとの説明でした。

 

私は、調査の結果次第で、返還請求また損害賠償するのかと聞きました。代表監査の「公金の不当な支出は見逃さない」という強い意思を感じました。

見積書差し替え、不当な関与?

次に第三者委員会の報告です。

 

防災倉庫は、「官製談合の疑いが濃厚ではないか」と質しました。工事監理と意図伝達業務委託が、当初予算を1千万円上回るのに、設計事務所と協議している。見積書が差し替えられている。誰かが不当な関与しているという報告ですが、許されない!と指摘しました。


第五次北本市総合振興計画(改訂版)可決

人口減少対策の実効性高める修正案否決 / 従来事業の継続が主流の原案可決

第五次北本市総合振興計画の改訂版が、今議会に提案され賛成多数で可決されました。今年の6月議会で「人口減少対策が不十分」と否決されています。

 

わが会派緑風会は、人口減少対策の実効性をより高めるため、改訂版に追加された「リーディングプロジェクト」で不足している推進の基本方針とプロジェクト3を加える修正案を提出しま

した。

 

委員会では、修正案が賛成多数で可決しましたが、本会議では逆転否決となりました。

人口減少に挑む意気込み不足

北本市の直面する最大の課題は人口減少と超高齢化です。この二つの課題を改善するためには、若者の定住であり、そのため本市の地域特性を生かした新規事業の開発研究は不可欠です。

 

リーディングプロジェクトは、これまでの計画にはなく、大変評価できます。しかし、リーディングプロジェクトは、先進性の事業を先導的に、期限を区切って推進することです。市の計画には、このような方針が示されていません。意気込みが伝わってきません。

 

私たち会派は、次のような修正案を作成し、委員会に提案しました。まずは、事業を選択して「目的と目標」を示し、庁内組織を横断的に人材を抜擢し、市民・議会・有識者(専門家)を加えた「プロジェクトチーム」を編成し、期限を区切って推進する「施策推進の基本方針」を加えました。

調査研究なくして新規事業なし

また、プロジェクト3として、「北本市再生の新規事業の開発調査研究プロジェクト」を構想し、緑の環境と災害に強い地質・地形を生かした住宅提供、圏央道開通で交通交差の優位性を生かした南部の商業集積化と公民連携の新駅開発の可能性などの調査・研究、北本駅から成田空港へのバス便などを盛り込みました。

 

調査研究した結果、実現性のあるものから順に実行し、新しい北本市の価値創造を創出し、停滞気味のまちづくりにインパクトを与え、人口減少の緩和につなげようとしました。

 

残念ながら、平成会や公明党、会派みらいの一部が反対し、修正案は否決されました。

 

北本市の人口は1月から11月までで、550人減少しています。現状打破が急務です。


北本駅東口駐車場にホテル誘致へ…?

市は、駅東口駐車場にホテルを誘致のため、12月補正予算に、北本市土地開発公社から買取る約1憶6千8百万円を計上しました。

 

現王園市長は「企業誘致」の一つであり、駅前の活性化が図れると答弁しました。現在駅の送迎などで市民が利用している駐車場ですが、無くなる可能性があります。

 

市は、最大50 年間の定期借地権でホテル業者に貸し付けます。ホテル業者が決まってもいない中で、土地の買い取りを先行させ、来年度予算の自己財源を減らすことに懸念を持っています。

 

市民の共有財産である公有地は、民間活用であっても「公共性」のある施設で、事業者も大手が主流です。中小の事業者は見当たりません。

 

わが会派は、ホテルに反対ではないが、事業計画を見ないままでは賛成できないと反対しました

が、平成会、公明党、みらいの一部の賛成で可決しました。

 

駐車場がなくなります。


学童保育室、地区公民館、公園管理の指定監理者決定

学童保育室など公共施設の指定管理者の再指定が可決されました。

 

学童保育室はこれまでのうさぎっ子クラブ、地区公民館はコミュニティ協議会、公園管理は、これまで東西を2事業者で管理していましたが、来年度からは市内造園業者が東西を一括で指定管理することになりました。障害児学童保育室は、これまでのキッズクラブです。


編集後記・雑感

今議会は、議会運営委員長として気の休まるときがなく、最終日は家に帰ってから、日帰り温泉へ行きゆっくりしました。

 

当初から、執行部からの報告があると知らされていましたが、内容の確認は実際に報告される前日でした。7日の代表監査委員の報告、12日の第三者委員会の報告と、新庁舎建設に係る不当な工事の内容です。

 

議長が代表者会議を招集し、緊急質問を行うことが決まり、方法や日程の調整を議会運営委員会に諮問されました。緊急質問は、平成8年以来10年ぶりで、日程調整は会期延長ということで対応しました。4人の議員が質問しました。傍聴席が満席になりました。

 

その後動議が出され、100条委員会の設置が議題になり、これもまた初めてのことでありましたが、事務局員の臨機応変な対応で、法に規定された決議ができました。委員長に互選され、真相究明に頑張ります。




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